メープルプロジェクト

イタヤカエデの樹液『森の雫』に魅せられて

イタヤカエデ・メープルの森「結の森(むすびのもり)」

結の森にはこのような白樺林もある
結の森にはこのような白樺林もある

南富良野町・下金山地区。富良野の市街地から車で約30分ほどのところにある「結の森(むすびのもり)」がその舞台です。ご近所の農家さんから伺った話によると、開拓当初には5軒の農家がこの山に入植したそうです。その後、後継者のいない3軒の農家が離農し、残った農家2軒でその農地を買取り、富良野の山部から下金山、金山地域の牛を一手に預かる牧場にしたそうです。やがて、預かり牧場も時代と共にその需要がなくなり、牧場は閉鎖されました。その閉鎖された牧場跡地を買取ったのがNPO法人グリーンステージの会長・由井さんでした。それから約15年以上の年月が過ぎ、牧場跡地にはパイオニアツリーとも呼ばれる白樺の群生と、もともと残っていた自然林に囲まれています。

イタヤカエデの樹液回収作業中
イタヤカエデの樹液回収作業中

私達、ウレシパ・フラノもグリーンステージの一員に加えていただき、この森の活用を検討する中で「森の雫」に魅せられたわけです。


富良野の3月・「森の雫」イタヤカエデの樹液の季節

樹液ピーク時には一晩でこのペットボトルから溢れるほど溜まることもある。
樹液ピーク時には一晩でこのペットボトルから溢れるほど溜まることもある。

そんな「結の森」にはさまざまな種類の樹木がありますが、針葉樹と広葉樹が入り混じる北海道の代表的な針広混交林と言えるのではないでしょうか。樹液が最もよく出るイタヤカエデもその一つです。厳冬期を過ぎ、雪解けが進む富良野の3月。季節はすでに春へ向けて動き出し、森がにわかに賑やかになってくる季節。そんな活動の一つがイタヤカエデの樹液です。


「森の雫」の不思議

イタヤカエデの樹皮は意外と特徴的でわかりやすい
イタヤカエデの樹皮は意外と特徴的でわかりやすい

外気温に大きく影響を受けるこの樹液の活動期間は、富良野地方では3月初旬頃から下旬頃にかけてのたったの2〜3週間です。そのころの富良野の外気温は、氷点下とプラス気温を行ったり来たりを繰り返します。その時期だけ枝が折れたその傷口や、ドリルで穴を開けたそこから樹液が滴り落ちてくる・・・というわけです。

諸説、色々あるようですが、そんな説の中でも最も合点が行くのは、イタヤカエデの木は冬の間も僅かに木の中に水分を蓄えてあり、氷点下が続く季節にはその水分は霜となって凍っています。それが、プラス気温に達する季節になると、日中の太陽の陽にさらされて溶け出した霜が水分となり、夏の間に蓄えてあった養分(秋にデンプンから糖に変えて越冬)を含みながら重力によって下がって来る。それが樹液としてイタヤカエデにつけられた傷口から滴って来る。というものです。

傷口から樹液が滴るというその現象自体は、人間の切り傷から血が吹き出してくる現象と同じ理屈のようで、樹木の内圧と外気圧が気温差により、差が生じます。その圧の差が発生することで樹液が出るのだそうです。

樹液ピーク時にはポタポタと雫が落ちてくるほど
樹液ピーク時にはポタポタと雫が落ちてくるほど

僅か直径8mmの深さ3cm程度の小さな穴から採れる樹液の量は、最も多く採れる木で一晩で4リットルにもなります。

これだけの水分を溜め込んだまま越冬するとなると、まず富良野の厳冬期だと氷点下になった時に木の内部が凍って、凍烈(トウレツ)してしまうのではないか心配ですが、だとすると、やはり水を吸い上げて、その水に夏の間に蓄えた養分である糖が溶け出し、樹液となる??だとすると果たして葉が無いこの季節に、何を原動力にして大地から水を吸い上げているのでしょうか・・・?

このイタヤカエデの樹液の活動には諸説あり、未だはっきりとした解明には至っていないようです。

ただ、私達の実践によって分かったことは、この時期の気温差こそが樹液の出方に大きく影響を及ぼし、そしてその気温差には必ず氷点下からのプラス気温への変動が必要で、その振り幅はマイナス5℃前後からプラス5℃前後ぐらいが最も樹液を滴らせる環境なのではないか?という事です。3月も下旬になるとプラス気温が続く事がありますが、そうなると樹液の活動はストップします。他の樹木もきっと水の吸い上げを行っているでしょうが、なぜかこのイタヤカエデは樹液を滴らせるのだとか・・・。なんとも不思議です。


僅か2度の糖分を含むイタヤカエデの樹液

樹液を煮詰める作業
樹液を煮詰める作業

そのイタヤカエデの樹液には僅か2度ほどの糖度が含まれます。砂糖の成分であるスクロース(ショ糖)がその主な主成分のようですが、ミネラル成分なども含まれたとっても貴重な大自然からの恵みでもあります。

メイプルシロップと聞いてまず思い浮かぶのは、カナダではないでしょうか。国旗にもなっているカナダのメープルはサトウカエデと呼ばれるカエデの仲間ですが、イタヤカエデとは異なります。そして、このサトウカエデの樹液にはイタヤカエデの2.5倍の糖を含むというのだから、いかに、イタヤカエデからできるメープルシロップが貴重なものかお分かりいただけるのではないでしょうか。

カナダのメープルシロップには66度の糖度まで達しないものはメープルシロップとして認定されない。という厳しい基準があるそうで、私達もこの66度を採用させていただき、たった2度しかない糖度を66度になるまで樹液を煮詰めてメープルシロップに仕上げます。煮詰めあげるとショ糖が結晶してできる'シュガーサンド'というざらざらしたものが底に沈みます。これらを濾過し、取り除き澄み渡った黄金色したメープルシロップになるまでの時間は量にもよりますが数日〜1週間という時間を要します。また、煮詰める際に使用する燃料には森の倒木や廃材などを活用して、私達の輪メイプルシロップ「森の雫」が完成するのです。


樹液の季節とともに風味も変わる和メイプルシロップ

イタヤカエデの樹液を試飲
イタヤカエデの樹液を試飲

イタヤカエデの樹液を煮詰めて作るメープルシロップはカナダで生産されるメープルシロップとは全く異なる味わいです。そして、樹液も、採取するタイミングによっても変化し、その変化がまた仕上がったメープルシロップにも連動します。

樹液が取れ始める3月初旬は採取できる樹液の量もかなり少なく、クリアで糖度もしっかり2度あります。この時期の樹液はストレートで飲んでもすっきりとしてほんのり甘みを感じ、紅茶にして飲むと最高に美味しいものです。カナダの基準でもこの時期に採取する樹液から採れるメープルシロップは「ゴールド」というランクのシロップで最も高価なものになります。

3月初旬の樹液初絞りからできた和メイプルシロップ「ゴールデン」
3月初旬の樹液初絞りからできた和メイプルシロップ「ゴールデン」

季節が進むにつれて、徐々に樹液にも変化が現れ、少し樹木の風合いが強く感じられるようになります。また、下旬になればなるほど、糖度も落ち、完成するメープルシロップも少しづつ色が濃くなります。

カナダ国内では、メープルシロップのランクは、「ゴールド」の次が「アンバー」、そして「ダーク」「ベリーダーク」というように4つのランクに分かれるようです。

どの時期が一番かどうかは個人の好みによるのですが、最もたくさん樹液が採取できる季節に出来上がるメープルシロップが最も一般的なものかもしれません。

ウレシパ・フラノでは、この採取時期が進むにつれて変化する味わいを、比較して楽しんでいただけるように、樹液の採取時期の表示を初旬・中旬・下旬の3つに大きくわけてラベルに記してあります。ぜひ、食べ比べしてみてください。

自家製和メイプルシロップ「森の雫」お取り扱い施設様

今までの記述でもわかっていただけると思いますが、メイプルシロップの生産は量産できない為、お取り扱いしていただいている店舗様は下記の3箇所のみで展開させていただいております。取り扱い開始時期などもその都度変わって参りますが、店舗様のご都合により長期休暇などありますので事前にお問い合わせいただくか、直接ご連絡ください〜!

(販売数量などその時々で変わります。また、量産できない為大容量での販売は現段階では行なっておりません。)

ドメーヌレゾン

富良野リゾートホテルエーデルヴェルメ

ペンションランドスケープ


和メープルシロップ「森の雫」の食べ方

和メイプルシロップ試食中❣️
和メイプルシロップ試食中❣️

生産量も少ない和メープルシロップですので、お料理の甘味料として使用するには高価なものになるかもしれません。最も一般的に私達が楽しんでいる食べ方は、やっぱりフレンチトーストやパンケーキなどにかけてダイレクトにそのお味を味わう食べ方です。シフォンケーキやプリンなどにかけて食べるということも良いかもしれません。ぜひお気に入りの食べ方で楽しんでください。


イタヤカエデの樹液と暮らし

日本中に分布しているイタヤカエデですので、地域によっては「泣きカエデ」といって樹液そのものを飲む習慣もあったようです。北海道では先住民族のアイヌも樹液を飲んだり、樹木そのものを匙にしたりして生活に取り入れていたようです。


結の森のその他の樹液

4月になると白樺からもポタポタと樹液が滴ってくるのを確認する事ができます。旭川では、4月の初旬に白樺の「樹液祭り」が開催されます。北方に住む北海道にはとっても身近な樹木として白樺があるようです。真っ白な幹を持つ白樺はこの結の森にもたくさんの白樺があります。パイオニアツリーと呼ばれる白樺は、樹木の中では樹齢は長くありません。この結の森でも徐々に針葉樹に侵略されつつある場所も見ることができます。


3月の森は、ポカポカ陽気に恵まれやすく、さまざまな動植物の活動の様子を見ることが比較的容易な季節です。雪の上を歩くのはちょっと大変ですが、堅雪の季節ですので、歩きやすい季節です。カンジキやスノーシューをご用意して、状況に合わせてお散歩ツアーをご案内します。自然林ですが、元牧場の敷地を含む里山です。大きな標高差があるわけではありませんので、小さいお子さんから健脚な方まで一緒にご案内できます。そんな身近な山ですが、ヒグマやクマゲラ、エゾシカなどの野生動物たちの息吹もしっかり感じる事ができる豊かな森をご案内するお散歩ツアーはメープルの季節3月に開催予定です。

機会があればぜひ遊びに来てください。

メープルの森で皆さんにお会いできるのを楽しみにしております。

「メープルの森お散歩ツアー」詳細ページ


★ウレシパ・フラノのオフィシャルToutubeチャンネルでも樹液の様子、お散歩ツアーの様子などご覧いただけます♪